サ責に求められる姿勢

サ責とは、訪問介護サービスの事業所に設置が義務付けられているサービス提供責任者のことである。サ責は誰でもなれる訳ではなく、介護福祉士や介護福祉士実務者研修など介護の有資格者でなければならない。訪問介護サービスの状況全体を把握し、介護に携わる現場職員を指揮監督することが、サ責の重要な職務である。サ責は介護の専門的知識やスキルを身につけている以上、訪問介護の現場を適正に監督できるはずだ。しかしながら、適切な指示を出して現場職員の信頼を得るためには、介護の資格を有しているだけでは十分とは言えない。

実際に訪問介護を行い利用者の事情に詳しい現場職員の方が、現場に即した実効性のある介護のアイデアを持っていることもある。こうした現場職員の意向を汲み取り信頼を得るためには、サ責は積極的に現場で介護を行い、利用者の事情に精通する必要がある。サ責の業務は、介護サービス利用者のアセスメントやモニタリングだけでなく、訪問介護計画書やサービス提供手順書の作成など事務作業も多く、現場にかかりっきりになる訳にもいかないが、バランス良く現場に配慮する感覚を忘れてはならない。

また、どんなに丁寧に介護サービスを提供しているつもりでも、利用者からクレームを受けることもあるだろう。クレームに対して謝罪するのもサ責の仕事である。不条理なクレームに対して謝罪するのは抵抗感が強いだろう。だが、部下の業務に対するクレームについて真摯な態度で謝罪する姿勢は、利用者の溜飲を下げるだけでなく、現場職員からの信頼感も増すことになる。サ責の業務遂行は、いかに部下の信頼を得て上手く現場管理できるかによって左右されるのだ。